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いちごのツブツブが外側にある理由

Strawberry長男(4歳)がデザートのいちごを食べていると、「何でいちごの種は外側に付いているの?」と聞いてきた。「それはなあ、いちごが進化してくる中で、それがいちばんいいと判断したからや」と言いつつも、ネットで調べてみたら、びっくりした。

「種」だと思っていた、いちごの外側にあるツブツブこそが本来の「果実」であり、赤い(内部は白い)部分(要は食用となるメイン部分)は、「花托(かたく)」という、萼(がく)とか茎の方が発生学的には近い部位だそうである。こういった、果実のように見えて本当は果実ではない果実のことを「偽果(ぎか)」と呼ぶのだそうだ。
(参考例:JAさがのページより
従って、質問に正確に答えるのなら、いちごの「種」も内側にある(「実」であるツブツブの中心に「種」があり、その周りには果肉がほとんどない→そういうのを「痩果(そうか)」というそうだ)。実のように見える赤い部分は、花托が肥大化したもの。が正解であろう。

…と、これで一件落着かと思いきや、さにあらず。よくよく考えれば、長男にとって、いちごが偽果でありツブツブが本来の果実であることはどうでもいい話であり、当初の質問を言い換えた「なぜいちごのツブツブは(中心部ではなく)外側に配置されているのか」には何ら答えていないではないか。

そこで改めてネットで調べてみると、地方独立行政法人北海道総合研究機構が掲載しているページが最も正面から答えているようだ。

 いちごは、受精後、種子をのせている、種子の内側にある花床が肥大して食べる果実となります。ですから、花床の外側にある種子は果実の外側にあるわけです。
 一方、りんごは種子の外側にある花たくが肥大して食べる部分となりますから、種子は食べる部分の内側にあるのです。つまり、肥大して食べる部分が種子の内側か外側にあるかによって種子のある場所が違うのです。
地方独立行政法人北海道総合研究機構のページより

話は逸れるがりんごも「偽果」だった(りんごの芯の部分が本来の果実相当箇所)。今度こそこれで決着だろうか。いやまだだ。メカニズムとしては上記のとおりだが、何故外側にしなければならなかったか、には答えられていない。

さらにネット検索を続けると、いちごを種から育てることについて書かれた記事を見つけた。そこでは、「イチゴは、好光性種子…日が当たらないと、芽が出ません」と記されている。これだ。もし種がいちごの中心部分にあると、日光が当たりにくく、発芽しない。

いよいよ決着か。残念、まだ足りない。何故花托が肥大化する必要があったのか、に答えていない。ここで、Wikipediaのイチゴの項目や、イチゴの原種は当初ケーキの装飾用として使われていたと述べるページ、さらには、植物全般に言える、種子を移動させる戦略(参考ページ)について合わせて考えていくと、おぼろげながら答えが浮かび上がってきた。以下、それを文章にしてまとめてみた。

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植物は、自らは移動できないため、その種子をいかに様々なところへ散布させるかということが生き残り戦略上一つの大きな課題となる。風に乗って飛んでいくもの、水に浮かんで流れていくものなどもあるが、種子ごとその実を動物に食べてもらい、その動物が移動した先で糞として出てくることで、離れたところでの発芽を果たすというものも少なくない。いちごの祖先も、そのような選択をした。

さて、動物に食べてもらうためには、自身の実を動物に見つけてもらわなければならない。緑の葉が生い茂る中で、緑の補色となる「赤」は目立ち、見つけてもらいやすい。また、動物にとってのインセンティブとなるよう、大きく膨らみ、栄養ある食べものとなるよう変化することが、より好んで食べてもらえるので有利となる。そこで、いちごの祖先もそのような「実」を作ることとした。だが、膨らませる部分を、一般的な果実における「子房」ではなく、「花托」とすることを選んだ。それは、いちごが「好光性種子」であるため、子房を膨らませると、果実の中の方に種子が取り込まれる形となり、その後の発芽で不利となるからであろう。かくして、実(ただし正確には「偽果」)の外周部に種子(ツブツブ)があるという構造の原型が出来上がった。この頃のいちごの祖先は、野イチゴのような実をならせていたのだろう。

その後、動物の中でも特に高い知能を持ったヒト(人類)が現れ、他の動物と同様にいちごの祖先の実を食べた。あるいは、鮮やかな赤色の実を、食材の装飾として用いた。ところが、突然変異や種の交雑等で、たまたま甘い実がなったり、大きな実がなることもあった。人類はそうした実を特に好んで選りすぐるようになり、さらには品種改良で、人為的に人類が気に入るような種へとどんどん作り変えていった。それが、今の「いちご」に至るのだ。もはやこうなると自然に種で発芽して、と言う増え方ではなく、株分けしたものを次々植える、言わばクローンによる増殖、しかも、いちご独力での自身の種の維持はもはや不可能で、大部分が人の手助けで維持しているという状態である。
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ここまで書いてみると、最初に苦し紛れで「イチゴが進化してくる中で、それがいちばんいいと判断したから」と返したのが、ざっくり言えば当たっていたということに気が付いた。

そして、上記の見解の趣旨を、なるべく平易な言葉で長男に説明してやった。ところが、長男の感想は「よくわからない」だった。何でやねん。

とまあ、壮大な徒労に終わってしまったが、大人では当たり前過ぎて疑問にも思わないことを、素直に「なぜ?」と問える、子供の純真さには驚かされる。おかげでこれだけのたくさんのことを考える機会を得られた。昔の人はうまく言ったものである。「一期一会」と。(違)

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