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クニマス展

121216_1京都大学総合博物館の特別展として行われている、「クニマスと共に-過去から未来へ-」を見学に行った。学生時代にも博物館はあったのだが、確か文学部博物館と言っていた記憶がある。後で調べてみると、卒業後の平成9年に総合博物館として新しくできたものであった。というわけで、新しくなってから入るのはおそらくこれが初めてである。

121216_2館内は撮影禁止なので文章でしか紹介できない。展示の内容や経過を簡単にまとめると、かつて秋田県の田沢湖にクニマスという魚がいたが、実は世界でそこにしかいないという珍しい種類の魚だった。それでもたくさん獲れるので、地元でも普通に食されていた。だが、戦時中に田沢湖の水で水力発電と灌漑を行うこととなり、そのための水不足を補うために、玉川水系の水を引いてくることとなった。しかし、これが玉川温泉の強酸性の水源であるために、田沢湖の水質が激変してしまい、クニマスは絶滅してしまったそうだ。

しかし、絶滅する直前に田沢湖の漁業者がクニマスを何とか他の湖でも繁殖できないかと、山梨、長野、富山などにクニマスの卵を送ったのだそうだ。その中の一つが、山梨県の西湖だった。卵は10万個ほどで、数としては少ないために定着しなかったものと思われていた。ところが、2010年に京大教授の研究チームが、西湖にクニマスが生息していることを発見した。この際にチームの一員として活躍したのがあのさかなクンである。彼は、過去の証言からクニマスの想像図を描いて、それがきっかけとなり、以前から西湖で獲れていたヒメマスの一種と思われていたクロマスという魚が、実はクニマスであるということの発見につながったそうだ。このエピソードは天皇陛下直々にもお誉めのメッセージをいただいたほどである。

ではなぜ西湖でクニマスは生き延びることができたのか。それは、クニマスの繁殖に必要な砂利のある湖底があることと、その湖底の水温が低いことであった。普通、湖の底には泥が堆積してしまいやすいが、西湖の場合は地下水が湧出する場所があってそれを防げたようだ。西湖にもブラックバスやブルーギルなど天敵となり得る魚がいるのだが、湖底の水温が低いことで湖底にはやって来れないので、卵や稚魚を食われてしまうこともなかったようだ。

それで、今後は西湖でクニマスを守っていくことはもちろんだが、将来の希望として、絶滅した田沢湖にクニマスを里帰りさせる構想もあるそうだ。そのためには田沢湖の水質改善な課題も多いが、是非とも実現してもらいたいものである。

クニマスの件についてはWikipediaにも詳細が載っている。

121216_4博物館HPにも掲載されていたパンフレットを拝借してアーカイブしておく。

121216_5

121216_3おまけの話だが、河原町駅から京大まで走っていくと、鴨川河川敷の三条~四条の間が工事中で仮設歩道となっていた。これまでこの区間はでこぼこのある石垣状態で走るには適さない状況だったのだが、これが終われば公園の一部として走りやすい地面に変わる見込みである。

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