Unstoppable
三連休の最終日は、都合により晩ご飯各自で、となった。寒い一日でずっと家にこもっていたが、観ていたテレビで「アンストッパブル」という映画の紹介をしており、大胆にもクライマックスシーンを10分程度も流すものだから、ほとんど衝動的思いつきで観に行こうと思い立った。そういえば最近映画館で映画見てないし、ネタ的にも鉄分十分、マニアックだし一人でサクッと観るのもたまにはよかろう。
というわけで高槻アレックスシネマでの宵の刻の上映に向かった。…って以前この映画館は高槻ロコ9シネマという名前だったと思うのだが、いつの間に変わったのか?調べて見るとつい昨年に営業譲渡があったのね。さらに昔はTOHOシネマズ高槻だったと思うのだが…これも2007年に変わったばかりのようだ。で、上映開示時点での観客はたったの5名。映画業界はかなり厳しい感じだ。
ストーリーとしては、アメリカの鉄道会社で、大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した貨物列車が、作業ミスにより無人のまま走り出し加速、あらゆる手を尽くして止めようとするが列車は止められない、というもの。たまたまこの列車に出くわしたベテラン機関士と新米車掌のコンビが、決死の覚悟で立ち向かい、止めにかかるが、列車はまもなく市街地の急カーブに近づいていく。いわゆるパニック映画、アクション大作である。ちなみに、この話は2001年にアメリカで実際にあった列車暴走事故をインスパイアして作られたのだそうだ。
(以降ネタバレ注意)
細かい解説云々は他へ譲るとして、感じたことをとりとめもなく書き留める。貨物操車場で、最初は些細なミスによりゆっくり動き出した機関車が、突如加速を始める。ニュートラルに入っていたマスコンが、運転士が席を離れている間に力行に入ってしまったからだ。しかし、ここでまずツッコミなのだが、デッドマン装置が付いていないこと自体が最大の問題。たとえ人間がいて運転していても万一急病で死ぬことだってあるので、一定時間何も操作がない場合は止まるように設計されていなければならない(=これがデッドマン装置)はずだが、それがなっていない。さらには、最初の段階でエアブレーキの管が外れているのに気がついていたにもかかわらず列車を動かしたデブの運転士、しかもポイントを変えようとして機関車から降り、運転室を無人にしてしまうというというありえない行動の連発。最大の戦犯はこいつだ。それもこんなにデブっていなければ早い段階で機関車に追いついて飛び乗れたのに。こんな酷い鉄道員は日本にはいないと信じたいが、アメリカなら何だかいそうな感じがしてしまう。
次に、暴走を始めた貨物列車に対向して走る、社会科見学の生徒を乗せた列車や、主人公の2人が乗った列車が、いずれもすんでのところで待避線に逃げ込んですれ違い、事なきを得るシーン。これを見て、どこかで見た覚えがあると思ったら、新幹線大爆破でも似たような場面があったはずだ。しかし、すれ違った後に、主人公の機関車が後ろから追っかけることになるのだだが、ポイントが待避線方向になっているところを本線から逆向きで暴走列車が通っているはずだから、その時点でポイントが壊れているのではないかというツッコミはなしよ、というのはお約束か。
列車暴走の報告を受け、会社への損害がどうかといったことばかりが関心事で対策が後手後手に回る上層部の動きというのも、さもありなんというシチュエーション。また、ヘリをバンバン飛ばして暴走列車を生中継、しかも立ち向かう運転士が誰かといった情報まで瞬時に流してしまうアメリカのTV報道も、さもありなんという光景である。また主人公の2人もそれぞれに家族に事情を抱えているなどの人間ドラマも少しだが描写される。これも新幹線大爆破にあったような。というかあれはかなりドロドロした暗い背景だったが。
さてようやく暴走列車に追いつく2人だが、すぐには止まらないのがお約束。時速100kmぐらい出ていたはずなのだが、市街地の急カーブに入るまでにどれぐらい減速できたのだろう。25km/h制限がかかったカーブ、最大でも40km/hが限界と言っていたようだが、どう見てももっとスピード出てるわな。それにこのシーンは福知山線脱線事故の記憶がある者にとってはかなりいたたまれない感じになる。
それと、「スタントン」という地名が出てくるが、これは架空のもののようだ。スタントンという街の名前はアメリカにはいくつもあるようだが、このような線路がある場所はないようだ。後で調べて見るとオハイオ州のベレアというところがモデルになっているらしい。それも、急カーブの線路のすぐ脇に巨大な燃料タンクなど、安全設計上もってのほかで、実際にはこのような構築物はないようだ。ということもグーグルストリートビューでわかってしまうとは、世の中便利になったものだ。
さて本筋とは全然関係のない部分でツッコミどころ満載ではあったが、CGをほとんど使わず、実際のスタントシーンで撮られておりかなりアナログ的ではあるが、それがかえって迫力を生み、ベテラン機関士役のデンゼル・ワシントンの演技も渋くてよかった。最後は止められるんだろうなと思いつつも、やはりハラハラドキドキで引き込んでくれる、いかにもアクション映画という作品であった。トニー・スコット監督は以前には「クリムゾン・タイド」も撮ったことがあるそうで、その映画も結構面白く見せてもらった覚えがあり納得である。
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