Esperanza
南米・チリの鉱山で起きた落盤事故で閉じ込められていた作業員が、2ヶ月余りたって次々と救助され始めた。この調子でいけば一両日中には全員救助されるだろう。最後の一人まで無事に助けられることを祈らずにはいられない。
事故の状況だとか助け出された作業員が誰々でといった話はニュースでくどいほど紹介されているのでそちらに譲ることとして、この件に関する感想などつらつらと書き留めておきたい。
今や世界中が注目するニュースとなったこの事故だが、救助されたこと自体は美談だとしても、そもそも事故が起きた背景はいい話ではない。鉱山所有者が安全対策を怠っており、以前から危険性が指摘されていた鉱山だったそうではないか。危険性が高いので働く人が敬遠するため、他よりも高い給料で雇っていたというわけだ。この鉱山主はあとでどのような責任を取るのだろう。さらにいえば、これだけ大々的な救出作戦の費用は誰が負担しているのか、また地上で待つ家族がずっとここで暮らす費用は誰が賄っているのだろうか。
エスペランサ(Esperanza:スペイン語で「希望」)と名付けられたこの急造キャンプ村、作業員が生き抜くという希望はかなり確実とはなったが、この鉱山はもう使い物にならないはずなので、無事救出されたその後の生活をどうしていくのか、他人事ながら気になる話である。
もう一つ、今回閉じ込められたのは地下700mほどだそうだが、水平距離では「たったの」700mなのに、垂直方向の700mは果てしなく遠いのだなと言うのがよくわかった。確かに世界一高い山でもその高度は9000m弱、水平方向だとマラソンの練習とすれば短いと思うぐらいの距離である。さらに水平方向の400kmだと、東京~大阪間よりも短く、新幹線であっという間に行けてしまう距離だが、垂直方向に延ばせばほとんど真空の世界となり、宇宙ステーションが地球を周回しているのだ。
つまり、人類の、いや生物の生息範囲は、地球からしてみれば、ほんのごく薄い膜に過ぎないということだ。月まで行ったのが例外ぐらいで、人類とてこの薄い膜にへばりついているに過ぎない生き物なのだ。
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コメント
おおむね同感。
マスコミから相当高額で取材申し込みがあるそうだけど、逆にそれを狙って普段付き合いのない親戚がキャンプ村に駆けつけているとの報道も。これまたよくある話し。
アドレス欄にURL入れましたけど、北海道の炭鉱では、閉山後、1000mの立坑を利用した実験施設が作られました。
見学に行ったことあるけど、運用がうまくいかなくて閉鎖され、残念です。
投稿: くまぼう | 2010/10/15 06:31
コメントありがとうございました。救出された33名の中にも、愛人が発覚しただのいろいろドラマがあるようです
。
廃坑利用がうまくいっている事例はカミオカンデのような例外を除きほとんどなさそうですね。もっとも今回の例では鉱山所有会社が破産するのではないかと思いますが。
投稿: くりりん | 2010/10/17 17:05