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タイムマシン・パラドックス考

雑誌Newton別冊の「次元とは何か」があったので読んでみた。我々のいる宇宙は、縦・横・高さの3次元に時間を加えた4次元時空であることは、これまでの科学で示されてきたところだが、重力の特殊性等を説明するのために、今ではもっと高次元があるだろうと考えられているそうだ。少なくとも5次元、あるいは10次元という説まであるらしい。3次元の枠内にはめ込まれた者にとっては想像するのも難しい。

それで、特に気になったのが、空間座標は行ったり来たりが自由にできるのに対し、時間座標は過去から未来への一方通行で逆戻りができないということである。もし逆戻りができてしまうと、「親殺しのパラドックス」にあるようないわゆる因果律の破綻を招いてしまうからだ、とされている。

しかし、本当に過去に遡ることは理論的にありえないのだろうか。時間軸が1次元一方通行なのは、その枠の中にはめ込まれてしまっている我々から見た場合は確かにそうなのだが、ひょっとすると、もっと高次元から見下ろせる者がいれば、時間軸は曲線になっていて、ごくまれにループしているところがあってもおかしくはない。過去通った時間軸と再度交差する箇所では、過去に戻ることができるかもしれない。

因果律の破綻についても、時間軸の道筋が複数に分岐しうる、俗にいう「パラレルワールド」の存在を認めてしまえば、破綻は起こらないといえるのではないか。つまり、過去に戻って、過去の自分や自分の祖先を殺しても、自分自身は「過去にそのようなことが起きなかった世界の未来」から来た者なので、存在自体は矛盾しない。無論、それをやってしまうと、その世界ではその後に自分自身が生まれてくる可能性はゼロになってしまうことになるが。

さらには、もし過去に遡って、遡って以降の世界の事象に一切干渉しなかったとしても、自分が知っているその後の歴史と同じ流れになるとは限らない、と考える。具体例でいえば、幾筋にも分岐している川があって、その上流に一枚の葉が落ちたとする。その葉がどの川筋に流れていったかを見届けた後、最初に葉が落ちたときに時間を遡って再度見たとしても、さっき見たときと同じ川筋を流れるとは限らない、ということである。

だいぶ昔の映画となるが、タイムマシンが出てくる「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズはこの考え方からすると、あり得ないことがだらけ、ということになる。まず、ある特定の時刻に特定の場所に雷が落ちるかどうか。雷が落ちやすい天候は再現されるかもしれないが、一度そうだったからといっても、再度流れる世界で全く同じ落雷が再現される可能性はむしろ低いだろう。また、自分の両親が結ばれなくなりそうになることで主人公が消えかかってしまうシーンがあるが、上記のとおり因果律は破綻しないので、別世界から来ている者が消える必要はない。さらに、悪役の脇役がスポーツ年鑑を過去に持ち出し、その内容を元にギャンブルで大儲け、という展開があるが、これもありえないということになる。高配当だったゲームほど、再度流れる世界で同じ結果となる可能性は低いし、たとえ当たったとしても自分が投票する時点で年鑑に記された倍率とは変わってしまうし、当て続けたとしても、その高い的中率が世間に知れてしまえば、何に投票したかがゲーム結果に大きく干渉してしまい、同じ結果となる可能性をどんどん下げてしまうことになる。過去に持ち帰って確実に大儲けをするのなら、ギャンブルの結果ではなく、画期的な発明を特許が取られる前に持ち込んで自ら特許を取ってしまうことだろう。とはいえ、私はこの映画が大好きで全部見ている。そして最後のセリフは実に正しいと思うし共感できる。「未来は白紙なのだ。」と。

話がだいぶそれてしまったが、タイムマシンのように人為的・意図的に時間を遡ることはできないとしても、時空の歪み等で意図せずに過去に送り込まれてしまって、それがその後の歴史に影響を及ぼしていることはむしろ起きているのではないかと思う。サルからヒトへの進化の過程でのミッシングリンクや、今のところトンデモとされている超古代文明、あるいは出自が不明だが劇的な活躍をした歴史上の人物など、その全てとは言わないが、中には未来からの知識を持ち込むことで歴史を大きく変えてしまったことがあるかもしれない。

2008年も間もなく終わりを迎えるが、新しい年の時間軸の流れが、少しでもいい方向に向いてくれますように。

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コメント

古い記事へのコメントですみません。
昨年は我が家も現代物理ブームで「次元とは何か」「アホでもわかる相対性理論」などなど夫婦でずいぶん読みあさったものでした。どの本を読んでも、時間軸は別扱いになっていますよね。熱力学第2法則と何らかの関連があるのでしょうか。

投稿: saru5440 | 2009/01/17 07:40

コメントありがとうございます。さすがは理系ファミリーですね
確かに時間軸だけが異質なんです。思いつきの話ですが、最初は1次元の時間軸だけがあって、その他の空間軸やら余剰次元やらは何かの気まぐれで偶然できたもの(=現在の宇宙)なのかもしれません。

投稿: くりりん | 2009/01/17 21:49

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