何のための来日か
広島県で起きた小学生女児殺人事件、学校の外での子供の安全をどう守るかという課題に加えて、逮捕された容疑者が来日ペルー人ということでさらなる衝撃が加わった。このことで安直な外国人労働者排斥につながらなければいいのだが。大部分の就労外国人は真面目に働いているのだから。
それにしてもこの問題は厄介だ。現に安上がりでよく言うことを聞く(といってもそれは立場の弱さ故であるが)外国人労働者が、日本の多くの工場等で労働力として欠かせない存在となっており、今更鎖国という時代錯誤の策は取り得ない。しかし、一方で、貧しい母国で職が得られず、ただ単に通貨の価格差のみに目を付けて、日本で薄給でも何とかなるだろうと、ろくなスキルもないまま安易に日本へやってくる外国人は、禍根を残しかねない。
母国ですらろくに職を得られないような者が日本でいい職に就ける可能性は薄い。それでも真面目に歯を食いしばって3Kのようなつらい仕事でもやり遂げれば、相応の成果は得られよう。しかし問題はそれに耐えられず落ちこぼれた者たちの行くあてがないということだ。そもそもこういった落伍者が出ないような仕組みが必要だし、もっと最初のところで、日本に入る段階でそのような安易な発想で来る者をふるいにかけて、本当にやる気があって耐えうる者だけを入れるようにしていかねばならない。少なくとも日本で働くつもりなら、必死で日本語を学んでもらいたい。不法就労や密入国などもってのほかだ。
こうしてはじき出されてしまった者は、孤立し、犯罪に手を染めたり、裏稼業に手を出すことになるのである。日本人か外国人かを問わず、一度「終わってしまった」者に対して世間は冷たい。特に最近は負け組は徹底的に貶められる。自由主義・資本主義を取る以上ある程度の勝ち負けはやむを得ないが、最低限のセーフティーネットと、敗者復活が出来る仕組みをしっかりしておかないと、結局のところ全体としては豊かさを失うことになる。フランスの騒動は対岸の火事ではない。
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コメント
貧困・無学の地から出国を目指すまでには、途方もない労力が要ります。そもそも誰がどうやって日本の就労ビザを取ってきてくれるのか。航空券は誰が手配してくれるのか。
仕事がないからといってピサロ=ヤギ氏がひとりで日本に乗り込んで来られるわけがなく。性犯罪歴を露見させないために、事前に改名している周到さも、本人だけでできるものかどうか。「祖父が沖縄出身の日系3世」も現地で流行している偽装との噂もあります。
そういうブローカーが多数介在し、暗躍していることを暗示させるものではないかと。
彼らは大抵、甘い条件を見せて彼らを篭絡し、夢の国での貯金・返済プランを提示して、必要な借金をさせます。この借金こそがビジネスの根幹かと。
セーフティネットより人身売買の根絶が急がれているのも、その辺りの事情ではないでしょうか。
投稿: Jan | 2005/12/02 12:01
Janさん、コメントありがとうございます。
貧困・無知・無学につけこんで、借金させてまで書類偽造、密入国を手引きするブローカーは諸悪の根元です。
またこんな甘い話にいともやすやすと乗ってしまうのは、日本でも多重債務者や詐欺紛いの儲け話に引っかかってハマる向きとかと似ている気がします。
投稿: くりりん | 2005/12/06 22:46