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憎悪の連鎖

既に報道されているとおり、ロシア南部・北オセチア共和国での武装勢力による小学校占拠事件は、人質300名以上が死亡という悲惨な結果となってしまった。何の罪もない多くの子供達が犠牲になったことは不憫でならない。

事件の背景として、長年続くロシアによるチェチェン共和国への圧制があるが、それにしても今回の事件で理解できないのは、人質の安全を全く省みない犯行グループの残忍性である。ロシアによる弾圧の不当性を国際世論にアピールするのが目的であれば、少なくともこんな卑怯で残忍な手口は使うべきではなかった。

おそらくこの件によりかえって国際世論のチェチェンに対する同情心は薄れてしまうことであろう。もちろんロシアのチェチェンに対する酷い行為を見逃してはならないことは間違いないが、だからといってこれに対抗するのにテロをもってすることは決して面責されない。

ところで、今回の件がかつてのニューヨークでの同時多発テロの際と同じ感じを受けるのが、行為全体の位置付けが自爆テロになっているということだ。

つまり、自らの正当性を訴えるというよりも、自らが生き残ることはもはや放棄し、やぶれかぶれの自殺ついでに気に入らなかった連中を少しでも多く巻き添えにしてやる、という発想に見えるのである。国際的にそう思われてしまったら危険だ。イスラム原理主義は人類全体で生き残ろうということを否定する「癌」的な思想だから根絶やしにしても止むをえない、と思われかねない。

憎悪の連鎖はどこかで断ち切らなければならない。その際に我々でも役に立てることがあるならば努力を惜しんではならない。

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